ビデオボードの取り付け



機種選定

 機種選定といっても、実は既に最初から決まっていた。それは自作マシンについているMatrox Millenniumである。それもII型ではなく初代のものである。つまり自作マシンの方に最新のAGPボードを装着し、これに装着してあるMillenniumをお下がりしようというのである。現実の選択として許してほしい。

[初代Matrox Millennium]

 しかしMatrox Millenniumは、その後継機種、Millennium IIが出たものの、現在でも十分通用する極めて優れたビデオボードである。確かに3D機能においては最早時代遅れと言われてもしかたない。後継機のMillennium IIもその点はちょっと劣ると言われている。しかし2D機能は今でも第一線級である。

 それに本格的に3Dを楽しみたい諸君にはVoodoo2など3D専用ボードを2Dカードとは別に装着という方向もあろう。通常のビデオボードにはとにかく2Dをしっかり表示してもらうということが重要であると思う。

 Millenniumは、WRAMという大変高価なSRAMをビデオRAMに使っている。これが速さのひとつの要素なのであるが、現在の市場の動向は高価すぎるSRAMは避けて、DRAMを改良したSGRAMを搭載する方向に進んでおり、いつまでMatroxがWRAMに拘るか注目したいところでもある。それにしてもこれが既に3年も前の製品なのだから驚きだ。日進月歩のパソコン部品にあって、驚異の長寿と言わねばならない。

 RAMの容量は4MBである。1600x1200でハイカラー(16bit、65536色)が出るので、普通の人は不満がないだろう。ただしフルカラー(24bit or 32bit)を表示したい場合は、解像度を1152x864に落とす必要がある。しかしこの機種はビデオRAMを増設することもできるので、どうしてもという人はそれで対応することも可能だ。

 チップは下図のようにMillennium IIに搭載されているチップMGA-2164Wや最近の他のベンダーのチップがBGAになっているのに比べ、QFPと時代を感じさせるが、その2D性能は全くひけをとらない。

[Millennium搭載のビデオチップMGA-2064W]

 RAMDACも当時としては驚異の220MHzを実現しており、これは現在でも十分通用するものである。現在多くの新製品は230MHzであり、Millennium IIが250MHzを出しているくらいである。解像度1600x1200でもリフレッシュレート75Hzのノンインターレースフリッカーフリー(NiFF)を可能にしており、通常の使い方なら全く不満のない性能である。


 因みに今回自作マシン用に購入したボードはカノープスのPWR128A GTVである。ビデオチップには定評あるnVIDIAのRIVA128を使い、カノープス得意のビデオキャプチャ機能を搭載したモデルの待望のAGP版で、最近出たばかりのほやほやの新製品である。これについては別途報告したいと思う。購入価格は28,571円(フジオンパート4)。



おすすめ機種

 今回は特に我が家の事情から結局Millenniumになってしまったが、実際もしアップグレード用に別途購入したとしたら何を選ぶかである。もちろんMillenniumはもう市場で見つけるのは困難であるし、Millennium IIも大変お手ごろになってきたので、何も過去の製品を探す必要もないだろう。

 現在のビデオボード選びは3Dゲームをやるのかやらないのかで、はっきり分かれると思う。もしバリバリに3Dをやりたいなら、アップグレードの方法から検討する必要がある。つまりまず順序としてマザーボードの交換の後か同時にしなければならない。それはとりも直さずAGP版を購入するためである。しかしそのような人には私は適切なアドバイスはできない。私はゲームをほとんどやらないので3Dにあまり興味がないのでよく調べてない。雑誌などでもよく特集されているので、そちらを参考にして選らんで頂きたい。

 ただし私がネットニュースなどで聞きかじった話を参考までにしておこう。もし海外のゲームをされるならやはりVoodoo2が良いようである。これはVoodooが得意とするところの「Glide」というAPI?を海外のゲームはよく使うからだそうだ。日本のゲームならRIVA128やPermedia2がいいということである。Glideを使わないのでVoodooの良さが出ないということである。

 もし3Dが二の次でいいのなら、やはりMillennium IIを薦める。秋葉でバルクなら4MBが19,800円で売っているのを何箇所かで見かけた。初代Millenniumに比べ3Dもそこそこ強化されているし、高速なWRAMとRAMDACは、更に洗練強化されている。それが2万円を切っているのだから、大変お買い得であるといえる。あとこれを薦める理由の一つにFMVに付けてちゃんと動作することを既に確認できていることが挙げられる。古いFMVの場合はPCIバスに繋げる部品には気をつけなければいけません。

 また私が自作マシン用に買ったカノープスのPWR128シリーズも実は結構お薦め。私のはAGP版のビデオキャプチャ付(PWR128A GTV)だが、PCI版(PWR128P AGP版と価格は同じ)やビデオキャプチャなし(GTS)の廉価版もあり、5月30日現在の秋葉原最安値は21,714円であった。もともと2D、3D共に優れたRIVA128だが、このボードはドライバの改良により、かなりパワーアップしている。ゲームはあまりやらないけど、やはり時代の流れから、それなりに3D表示能力のあるものが、とりあえず欲しいという人は絶対お薦めだ。ビデオキャプチャ機能に関しては、欲しくもない人に薦める気はないけど、別途購入すると結構するものなので、6千円の違いなら買って損のないものだとは思う。ただしFMVに装着して問題がないかは確認してない。もし確認して欲しいという要望があれば、自作マシンからはずしてFMVに付ける実験もします。

 まあ相性問題は私の今回の計画のようにすぐにマザーボード交換が控えているなら、あまり神経質になる必要はないだろう。FMVがだめならマザー交換まで待てばいいだけ。

 ところで今回のアップグレードの費用だが、実際に購入したPWR128A GTVはこのマシンに装着する訳ではない。また装着するMillenniumは今は売ってない。かといって1年前の購入価格を計上するのも不公平である。ここはMillennium IIを装着したことにして、その最安値を今回のアップグレード費用としよう。秋葉のバルク品の最安値19,800円がそれである。



取り付け 6月1日(月曜日)

 さて早速FMVにこの初代Millenniumを取り付けてみよう。一応取り付け前にビデオドライバを安全のため現在のATIのものからスタンダードVGAにしておいた方がいいと言われている。1年前に装着した時はちゃんとそれを守ったけど、今回はPnP機能に期待してさぼって、やらなかった。

 取り付けはいたって簡単。取説を見ながらやってみましょう。オンボードのATIビデオは特に無効にするなどの作業は必要ないし、無効にするようなジャンパなどはないようである。PCIバスに取り付けて、ディスプレイからのVGAケーブルを増設ボードのVGAコネクタに接続すれば自動的に増設ボードが使用されるようになる。当たり前のことだが、VGAコードは必ず増設ボード側に付けてね。実はこれを結構忘れていて、オンボードの方に繋げたまま、動かない動かないと騒ぐ人がたまにいるようである。

[FMV背面]

くれぐれもオンボードビデオのVGAコネクタに接続しないように。ちゃんと増設ボード(Millennium)のコネクタに繋げよう。

 因みに今回のビデオボードの装着でついに我が家のFMVの4つの拡張バスがいっぱいになった(2つのPCIバスにこのビデオボードMillenniumとSCSIカード、2つのISAバスにサウンドカードとLANカード)。さぞFMVも持てる機能を発揮してよろこんでいるだろう。つかの間ではあるが。

[カードで埋まった4つの拡張バス]

 装着後電源オン! Windowsが立ち上がると例のごとく新しいハードウェアをみつけ、ドライバのインストールのためWindows95のCD-ROMを要求してきた。うんうんPnPが動いているなと思い、CD-ROMを入れたらさすがMillennium、ちゃんと95のCD-ROMからドライバがインストールされた。でもこのドライバの性能はに不安があったので、Millenniumに添付のCD-ROMからWindows95用のドライバを別途インストールし直した。

 さて再起動をして、いよいよその性能やいかに!



ザ・テスト

 テスト環境は当然変わらず。ビデオボードの交換では変化があるはずのないテストも一応行い、その結果も挙げてある。今後もこの方針でいく。マシンは名は「FMV MILLENNIUM」とでもしよう。


WinBench98
マシン   CPU Mark FPU WinMark Business Graphic Business Disk High-End Graphic High-End Disk
FMV-DESKPOWER 188 478 15 742 24 1550
FMV-MILLENNIUM 187 483 32 761 37 1610
自作機 839 1740 120 1230 148 3300

 ちゃんとグラフィック系のテストが結果がよくなっている。ただ劇的というほどでもない。グラフィック系とは言ってもメモリやCPUの比重も非常に高いテストだからである。グラフィック以外のものは測定誤差の範囲だ。


HDBENCH Ver 2.610
マシン   浮動小数点 整数演算 矩形 Text Scroll READ WRITE
FMV-DESKPOWER 7636 8066 2018 576 1322 11 7366 7095
FMV-MILLENNIUM 7595 8023 13374 1628 13193 544 7339 7308
自作機 27357 21707 42360 4118 27012 553 11035 11002

 これは凄い!といわざるを得ない。スクロールなどは50倍であり、自作機に迫っている。矩形やテキストも著しい。Millenniumは比較的「円」が弱いといわれているので、他のものに比べるの変化度が低いがなかり健闘している。同じボードを装着した自作機との差はなお大きいものの、劇的な変化といって良いだろう。


メルコベンチマーク
マシン   スクロール 画像編集 図形描画 CPU RAM HDD CD-ROM
FMV-DESKPOWER 116 435 109 632 285 254 187
FMV-MILLENNIUM 732 569 1180 632 261 244 187
自作機 2265 1985 2666 1467 2193 1650 761

 やはりスクロールと図形描画が凄い。画像編集はあまり表示とは関係なく演算能力の方が重要なため、さほど差がでてない。他は測定誤差だ。


Intel Media Benchmark
マシン   Over Video Image 3D Audio
FMV-DESKPOWER 71 56 95 90 77
FMV-MILLENNIUM 89 83 99 90 94
自作機 457 537 1441 339 544

 Videoが多少いい程度で、あまり差がない。Audioが速いはずはないので変だけど、こういう結果になったので仕方ない。


WinTach
マシン   Word CAD SpreadSheet Paint
FMV-DESKPOWER 62 146 42 60
FMV-MILLENNIUM 156 559 374 254
自作機 495 1855 594 540

 これは全般に凄い差がついている。CADやPaintよりSpreadSheetが健闘しているのが不思議な気もする。


CoreTest (MB/sec)
マシン      1kB 4kB 16kB 64kB 256kB 512kB 1MB 2MB
FMV-DESKPOWER READ 165 168 90 81 56 48 44 44
FMV-MILLENNIUM READ 165 167 91 80 50 50 45 45
自作機 READ 323 321 321 320 319 150 108 108
FMV-DESKPOWER WRITE 185 263 72 51 49 50 50 50
FMV-MILLENNIUM WRITE 180 243 79 50 49 50 51 50
自作機 WRITE 1063 1603 1816 302 303 220 181 180

 このテストは差がつくはずがない。測定誤差である。


Superπ
マシン   104万桁
FMV-DESKPOWER 30分12秒
FMV-MILLENNIUM 30分15秒
自作機 5分43秒

 同じく測定誤差。一応このプログラムの作者はビデオの差もでる言っているが、やっぱりはったりだったな。どう見ても差がでるはずがないのは、テストをやってみればすぐわかる。



テスト総評

 純粋にビデオの性能を測定するテストでは見事に劇的な変化を見せてくれた。Millenniumの凄さを改めて見せ付けてくれたと言えるだろう。一方でオンボードビデオの酷さを思い知らされた。ビデオボードのアップグレードはそれなりに効果的であることは分かった。

 ただオンボードビデオのチップメーカーであるATI社の名誉のためにも言っておこう。あくまで異常に遅いのはFMVに搭載されたMach 64である。決してATIのチップが全般的に悪い訳ではない。現に今ATIが出ている3D RAGE PRO3D RAGE PRO TURBOといったチップはなかなかの性能を出しており、このチップを搭載した同社のビデオボードXPERT@PLAYXPERT@WORKなどはそれなり性能で市場で評価されている。またこれらのチップを搭載した現在のFMVも優れたビデオ性能を持っていることは雑誌などのベンチからもわかる。それにビデオの性能は前にも言ったようにチップだけではなく、様々な要素が絡んでいるので簡単に評価はできないと思う。

 しかし再び今回のテスト結果の話に戻るが、確かにビデオ性能に特化したテストは大変いい結果を出したものの、ひとたびアプリケーション全体の動作となり、ビデオ性能の比重が落ちるとグッと成績が悪くなる。実際体感的にも特別速くなったようには感じない。ちょっとビデオ性能ってベンチテスト的というか自己満足的なところがあるような気もする。

 またビデオ性能そのものも同じボードを装着したPentium-II自作機との差は依然激しい。優れたビデオボードの能力が発揮できていないことも発見できた。やはりボトルネックの解消にはほど遠いと言わねばならない。

 結論としては、ビデオボード交換の価値はあり、是非すべきであるが、その本当の効果を発揮させるためにも、他の強力なボトルネックの解消を急がねばならない。いよいよ今回のパワーアップ大作戦の真打第2段階 マザーボードの交換へといきたい。


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